夏至南風
沖縄では、梅雨明け間近に夏至南風(カーチーベー)と呼ばれる南からの強風が吹く。それはハッキリと波高にも見て取れ、ほぼ毎日、南風が7m、8m、波高も3m、4mとなり、ダイビングは風裏と呼ばれる直接風の影響を受けないポイントに限定されることとなる。

そうなんです。今回の一番の心配は、沖縄の梅雨明けがやや遅れたことによるカーチーベーだったんです(結果的に梅雨明けは平均より1日遅れの6月23日)。前々日に現地に電話をいれて確認したり、利用するダイブサービスのホームページで今日はダイビングに出かけたかを確かめたりと。それが、前日、現地から大丈夫との連絡を受け、まずは一安心で出発。何といってもツアーで一番心配なのがお天気。まずは良かったよかった!

そもそも、なぜ、梅雨明けの時期がよいかというと、梅雨明け直後は比較的安く行くことができ、梅雨が明けると太陽の強い日差しが海を突き抜け海底で反射して、より一層海の色がキレイに見えるんです。もちろん海の中も日差しの強さが光と影のコントラストを生み、どこまでも透き通ったクリアブルーの世界をみせてくれるのです。(写真は朝陽です。夕陽ではありません。・・・心が癒される穏やかな海!)

カーベーチーも弱まり、更に梅雨前線は朝鮮半島付近。石垣島に到着すると痛いような日差し(梅雨の明けていない北九州からでは、明けた後の沖縄の日差しは強烈すぎて、ホント痛いっす)と具志堅用高氏の出迎えです(カンムリワシと異名をとったあの頃は、皆のあこがれのスーパースターだったなぁ。う~ん、感慨深い)。
ダイビング
ダイビング初日

初日はお昼過ぎに到着ですので島の直ぐ近くのポイントで1ダイブ。
波はほぼなく、頬を優しく撫でるような、それでいて爽やかな風が私たちを出迎えてくれました。ダイビングポイントは「インダビシ西」。水面からキラキラ差し込む陽光に海底の白いサンゴ砂が眩しい中を点在するエダサンゴのコロニーを渡り歩くダイビング。

エダサンゴを取り囲むようにスカシテンジクダイ、キンメモドキ、ウメイロモドキの幼魚の群れたちが私たちを出迎えてくれます。見とれているダイバーさん、カメラを構えるダイバーさん。それぞれに楽しまれていました。
そうそう、巨大なシャコガイも見つけました。
砂地で大きなトラフシャコが左官屋のように腕を起用に巣穴の工事をしていました。(これは写真だけではよくわからいかと思いますので動画で掲載しました。宇宙人のような目がチョコマカと動きます)
ちなみにシャコで有名なのはモンハナシャコですが、捕食の時に捕脚(手の部分といっていいでしょうか)を使ってハンマーのように海中最速のハードパンチを繰り出して捕食(いわゆるエビ・カニなどの殻をたたき割って)するのですが、このトラフシャコはカマキリのように挟んで捕食するんだそうです。
ダイビング二日目


2日目は快晴の中、ポイントまで40分ぐらいのクルーズ。
「外離島 南」「内離島南」「サバ崎東」でのダイブです。
サンゴの群生に、散りばめられた宝石とでも形容したいくらいのアカネハナゴイ・ハナゴイ・キンギョハナダイ・デバスズメダイたちに覆われています。海の宝石たちがキラキラととても輝き綺麗です。中層はヨスジフエダイ・ノコギリダイの群れたちやナンヨウハギたちが群れるなんて珍しいポイントです。何度も潜っている私も感激しながらビデオを回しました。見ながら泳ぐだけで心癒されるポイントですね。


ダイビング最終日

3日目は、ウミガメを見たいとのリクエストをいただき「鳩離小大仏」「インダビシ北」「鳩間北西」で潜りました。もう何十年とガイドしてきた現地サービスのオーナーガイドですからウミガメ100%の遭遇確率。潜降ロープ伝いに海底に降り、少し移動しただけで指さすその先には寝ぼけ眼のカメたちがサンゴの根の上で休憩中。皆で取り囲み状態、ジックリ観察することができました。(ウミガメにしたらいい迷惑だったかな? それとも慣れたものだったのかな?)

「インダビシ北」のポイントのサンゴは一時期は、温暖化の関係か白化で悲惨な状態でしたが、現在は復活し広大な面積を埋め尽くしています。以前の群落と変わらない状態までに戻っています。このまま未来永劫残って欲しいと心から願うばかりです。

そうそう愛くるしいモンツキカエルウオにも会えましたね。珊瑚の穴から顔をだして目玉をくるくる回すその姿はとても愛嬌があります。
こんなに多種多様、色鮮やかなサカナたちにであえる沖縄の海も、このままの姿でずっと子供たちやそのまた子供たちの時代にも残したいものです。いや我々、大人たちがその努力をしなければなりません。とかく生活することに精一杯で、何かと自然を忘れがちになりますが、その大事さやその美しさを常に発信続けなければならないと心に誓いました。アルピニストの野口健氏が富士山の状態を常に発信し続けたように、海がどのように変化しているかを発信していくのは、我々ダイバーの責務ではないかと思ってしまうこの頃です。
記念ダイブ
ご夫婦でダイビング

二日目は例年ご参加のF・Kさんが500本ダイブ!一日遅れてご主人のY・Kさんの500本ダイブ!
お二人がダイビングを始められたのは2010年。一日違いではありますが、ご夫婦で共通の趣味を持ち、ダイビングを続ける。とても素晴らしいことですよね。それも、8年間で500ダイブですからかなりのハイペース。年間60ダイブ以上です。本当におめでとうございます!!これからも末永くお二人で楽しいダイビングを!
それぞれの記念ダイブ

本数での記念ダイブが一般的ですが、そうでない記念ダイブもあります。
それはそのダイバーさんにとって初めてウミガメと出会ったダイブだったり、マンタと遭遇したダイブだったり。
今回はオープンウォーター卒業後、10ダイブ程度で初めてのボートダイブのダイバーさんも2人参加されていました。透明度にビックリ。深さに緊張、魚の多さに唖然、などなどお2人にとってはまさしくいわゆる「記念ダイブ」。お二人とも初日より二日目、二日目より三日目と段々慣れ落ち着いてきてエントリーも余裕が出て来ました。ダイバーとしての自信が芽生え始めて来たのではないでしょうか。自信とともにダイビングの魅力に魅せられたのでしょう。このうちの一人のダイバーさん、帰って来て一言『8月の石垣、行きます!』。また一人ダイビングの魅力に執り付かれたようです。講習を担当したインストラクターとしては、この上ない喜びです。
最終日

最終日は器材の取り込みとパッキング後に石垣島へ。到着後はお土産を買いに出かけます。皆さんの機内持ち込み用のバックはパイナップが一杯。
重たい手荷物といっぱいの思い出も一緒に機上へ。
皆さ~ん、ご参加誠にありがとうございました。来年のご予約もたくさん頂きました。
より楽しいツアーになるよう頑張ります!

最終日は器材の取り込みとパッキング後に石垣島へ。到着後はお土産を買いに出かけます。皆さんの機内持ち込み用のバックはパイナップが一杯。重たい手荷物といっぱいの思い出も一緒に機上へ。
皆さ~ん、ご参加誠にありがとうございました。来年のご予約もたくさん頂きました。より楽しいツアーになるよう頑張ります!
後記あとがき

天気図と睨めっこ。
特に夏のシーズンは天気図に南の洋上の大きな雲の塊など有れば1日に数回は天気図を確認して消滅することを祈ります。いつものことですがツアー出発前の1週間は現地の天気予報と睨めっこです。今回も7号が北上中でしたのでスピードが心配でした。結果、ツアー中は海況も良く凪の中でのダイビングでしたが最終日の西表から石垣のスピードボートは私たちの後は7号の影響でキャンセルになりました。結果的に6号と7号の合間をぬってのツアーだったのです。
天気、海況ともによく、予定の本数も潜れて、プラン担当者としては、最終日のビールは格別でした。「インダビシ北」のポイントのサンゴ復活にはビックリでした。とにかく広大な範囲に数々のサンゴがびっしりです。温暖化の中、サンゴも一生懸命生きていることに大感激です。来年も生き生きとしたサンゴに出会えますように。
今回のツアーは渡辺が担当させていただきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
2018年 6月 渡辺 一明