バリ・コモド
調査ダイブ報告 No.2」


2001年 5月 今林 忠義


 (初日)
13日早朝、エンジンの音に目を覚ます。一路、ロンボク島の北端を目指し航海がスタートする。「遅い!実に遅い、本当に遅い。マァ速くはないだろうと期待はしてなかったがそれにしても遅い。」風は追い風だがかなりの向かい潮で何時間掛かっても陸の景色が代わらない。朝6:00出航してロンボクの北端のメノウについたのが夕方4:00.早々ダイビングの準備に掛かりテンダーボートに乗り込む。「さすがプロの集団、早い。ダイビングの準備もさることながらクルーの手際もいい。2ハイのテンダーボートをすばやく水面へ準備する。1パイは船上要員を入れて10名ほどが乗れる船外機付きアルミボート、もう1パイは6名ほど乗れる同型船。」ガイドとダイバー、テンダー、総勢16名で島の北西のポイントへ移動、夕暮れ間近のエントリー、ダイブプランは25m/35分 USネービーのダイバーよろしく(少しオーバー)次々にエントリー。
 「早い、潮が早い、水面のボートと水底の動きの違いに潮の早さを感じながら海底を沖に移動する。皆バラバラ、辛うじてビデオのムービーライトが遠くに確認できる。この分だと浮上した時点で1Km程の範囲で各自バラバラ状態のエキジットになるな〜っと思いながら流れを斜めに横切る形で沖の25m深度まで移動する。時間から明るい太陽光は望むべくもなく薄暗くなった海底を見まわす。」「いる、いるギンガメアジの大群が潮に逆らい、わずかに潮上に上っている。その数、300匹。カメもジェット戦闘機のUターンのように潮にあおられ岩陰に流されていく。魚達はダイバーが近付いてもそれほど遠くに逃げない。あまりスレてないのか潮の早さの影響なのかは分からない。群ハタタテやアカモンガラ、ハギの群、ウメイロモドキなどが乱舞。岩陰にはトガリエビス、ツバメウオ、タテジマキンチャクダイ、ヨスジフエダイ、チョウチョウウオ、サザナミヤッコ、その他いつもの顔ぶれがこちらを見ている。大物は見れなかったが、取り合えず小物オールスターキャストの出迎え。」ダイブタイムも後半になりかけた頃、さすがプロのダイバー、今まで何処に居たのかムービーライトの周辺に1人、2人と集まり出した。「エントリー直前、潮下に遠浅のリーフに砕ける波を確認していたので、ダイブマスターのジャスパーへサインを送る。彼も見ていたらしく両方の人差し指をくるくる回し、洗濯機の回転ドラムのようなサインを返してくる。」「デコストップの際にあまり流されればその方向に行きそうなので互いに確認し斜めに潮上へ上る。」 
 「イャ〜ッ、面白かった久々に潮の早いポイントで活性した魚達と泳いだ感じ」昨年11月ランギロアのパス以来の心地よい興奮を覚えながら水面へ顔を出すと、30m四方にダイバーが全員確認できた。本船に戻ったみんなはニコニコと顔が輝いている。ファーストダイブからの速いドリフトに全員が互いにスキル確認しあえたむきもあり、このメンバーなら安心してこれからの調査ダイブを安全に達成できると思ったに違いない。夕食後、次の目的地スンバワへ向かい凪の海を東へ進む。
 14日(2日目)
スンバワの北にあるモヨ島周辺で4DIVE+ナイト1DIVE。「島から突き出た半島の突端の少し手前からエントリーする。ここは水面下40mほどのドロップオフ。壁際を潜るウォールダイブである。透明度25m、潮流もなく魚種もすくない。壁には小型のウチワやカイメン類が見られる」「やはり突端の潮が行くポイントに潜りたかったな〜っ」と思いながらデコストップにはいる。みんなそう思っていたのか、2ndダイブは突端の北側の楕円系の環礁になった。「ここは比較的、潮の流れがあり、透明度も30m、魚種も多く、生き生きしている。ウチワやカイメン類も大型のものが多く、珊瑚も綺麗。大型のシャコガイなどもいる。小物オールスターキャストのほかハナヒゲウツボ、コブシメ、カメ、ホワイトチップなどに合えた。」 次はそのすぐ横の環礁でのダイブ。幾分、傾斜角度が急勾配だが、2ndダイブとあまり代わらないポイントである。昼食後3時間程、東へ移動し本島北側の小さな島でのダイブ。 「珊瑚はハード、ソフトともに海底を埋め尽くしているが色合いがもう少しカラフルだと写真が栄える。魚達も珊瑚の周りでのんびり泳いでいる。時折、1.5mほどのホワイトチップが現れ緩やかな傾斜を海底深く消えていく。」夕食前のナイトダイブは日本人3名ともパスし、日本より持ち込んだ純米酒で食事の際の乾杯の練習をする。

つづく


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