フィリピン・プエルトガレラ
「カウントダウンはサバンビーチで!」


                                              2011年 正月 東川 由美

バタンガスの小さな船着場から、バンカーボートで小1時間。
波の無い、穏やかな海面を滑るように行く船は、絶好の揺りかご。
あたたかい潮風になでられながらうたた寝をする間に、プエルト
ガレラのサバンビーチが見えてくる。

波打ち際に程近く、すき間なく並んだ小さなリゾートと、たくさ
んのダイビングサービス、レストラン。狭い砂浜では、子供たち
と犬が遊んでいる。

2度目のプエルトガレラ。無邪気な子供たちの笑顔に心を癒され、
でも、7カ月前
のGWの頃とは少し違う雰囲気に気付く。なんだか、
街がそわそわしている。この日
は12月31日。2010年最後の日。
昼間から、時折花火の炸裂音。びっくりする
位大きな花火の束を売り
歩く売り子の姿も、5月には見なかったもの。このビーチの
年越しの
様子がどんなものになるのか、ワクワクしてしまう。

ホテルにチェックインして、サービスに向かうと、ガイドのロメールがGWと同じ笑顔で迎えてくれた。遠征でなければ、どのポイントも遠くて船で10分位。こんなに街が近いのに、なかなかの透明度。
こんなにたくさんのダイバーが訪れているの
に、荒れていない水中風景。ハードコーラルは少ないものの、色とりどりのソフトコーラルが揺れ、熱帯魚が群れ遊び、まるでディズニー映画のよう。「リトル・マーメイド」の曲「アンダー・ザ・シー」が、私の頭の中でエンドレスに演奏される。ビーチからすぐの沈船ポイントには、たくさんの人慣れしたツバメウオが住み、人魚の気分で一緒に泳いだ。


ホテルは前回と同じ、「クラブ・マブハイ」。こじんまりした感じ
のいいリゾート
は、コリアンな食事が本当に美味しくて、今回もまた、プルコギとか、キムチチゲを食べながら、サンミゲルビールをおいしく頂いた。
そして、年越し。疲れて眠気に勝てず、一度はベッドに入ったものの、間欠的だった花火の音がだんだん間隔をせばめていって、寝ていられないくらいの大音量にテラスのドアを開け、むせかえるような火薬のにおいに圧倒されながらビーチへ行く・・・。

たくさんの人が次々に打ち上げられる花火に見入っている。明確な
カウントダウ
ンこそ無かったけれども、その頃になると、各リゾート
から一斉に花火が打ちあが
り、対岸も花火でチカチカと光って見えた。
間近に火の粉が降り注ぐ中、いろいろな
国の人々が笑顔で歓声を上げ
る様子は、今まで過ごしたどの年越しよりも感動的で、
心から楽しい
夜だった。

 そして、最後のダイビング。スターは最後に現れる。
5月に来た時に、珍しい小物が多くて楽しかった、大きなシャコ貝がにょきにょき生えたポイント「クラム・ファーム」。行きたい、行きたい、と言い続け、最後に連れて行ったもらった。
ロメールがみんなを呼び寄せ、近づいていくと、今林さんが「おお!!」と声を上げたのが聞こえた。ミミックオクトパス!その不思議な模様。様々に姿を変える様子・・・。

今回総勢4人の小ツアーだったこともあり、それぞれじっくり観察し、カメラ組も心行くまでシャッターを切っていた。船に上がって今林さんが、「ミミックを見られただけでも、来たかいがあった…」と、嬉しそうにつぶやいていたのが印象的だった。

楽しい時間は、いつもあっという間。1月3日の朝。2回目ですでに懐かしいようなこのリゾートに、きっとまた帰ってくるような予感を感じながら、バンカーボートからサバンビーチに手を振った。 
●航空券の関係で参加できなかった方・・・・申し訳ありませんでした。今林



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