鹿児島・与論島
「与論ツアーを終えて」


2003年 8月 大久保 英城

(1日目)
 集合時間になっても、出発時刻になっても店からの車が来ない。渋滞に巻き込まれているということであった。「与論島ダイブを諦める事になるのかなあ?」集まっている参加者たちにそんな雰囲気が漂っていた。その時、出発前7分、「大久保さ〜ん。」渡辺さんがスゴイ形相で駆けてきた。「間に合った。」みんなホットして受付を済ませ、手荷物検査場へ向った。そこでまた大変な事になった。検査員が「カメラケースの中を拝見します。」「パソコンケースを開けてください。」その横ではJASの人が「お急ぎください。出発します。」どうしていいのか分らずパニック状態に陥ってしまった。それでも何とか検査を済ませ機内へ、他の客の冷たい視線が我々一行に注がれたのは言うまでもない。
 鹿児島までは30分。与論島までは2時間30分のフライトであった。与論島についてタラップを降りると南国特有の熱風が我々を歓迎してくれた。また、今回お世話になった竹内ご夫妻が車で迎えに来てくれていた。ホテルに荷物を運び、15時からさっそく1ダイブすることになった。<ウアノマキのアーチ>「のどちんこ形の怪しげなアーチポイント。横穴や、L字型のホールもあり地形が楽しい。沖の根はグルクンやハナゴイが多い。」※竹内潜水堂のホームページより1ダイブ目という事で期待大で出航した。港からすぐのポイントで船に弱い自分にとっては大助かりであった。(全てのポイントは港から15分以内だった。)期待通りの透明度と地形の面白さに大満足だった。
(2日目)
 <茶花海中宮殿>「白い砂地の広場と、クリアな海の色のコントラストがとても美しいポイント」※ 出発前に人工宮殿と聞いて少しガッカリしたが、白い砂地に3本の塔と宮殿があり、とても美しかった。塔の上に座って写真をとってもらっている人や宮殿の中でポーズをとっている人など様々に楽しんでいた。
 <ダブルクレパス>「水底に広がる4本のクレパスがいろいろな顔を持ち、砂場、岩場、トンネルと変化に富む。夏は沖のエダサンゴにコブシメが産卵する。」※ 両横から岩がせり出し、細いクレパスがずっと続いていた。自分はこんな地形が好きである。このポイントはクモのようなオラウータンのようなおもしろい生物がいた。

(3日目)
 <沈船“あまみ”>「93年5月に新たなポイント開発のため、旧巡視艇“あまみ”が沈められた。全長約51mは日本最大級で、与論を代表するポイントとなる。」※ 潜降してからしばらくするとぼんやり“あまみ”の姿が見えてきた。何か巨大な生き物が静かに横たわっているかのように見えた。近くまで寄って見ると、確かに沈船“あまみ”である。自分の巨体を誇るかのように我々を迎えてくれた。長くは居れなかったが、もう少しそばにいたい気がして何度も振り返った。
 <タートルドリーム>「期待してもらってOKです。その名の通り、ウミガメ狙いのポイントで、遭遇率は99%以上?  驚かさないようにジックリ観察しよう。」※ 潜降途中に下を見ると、ウミガメがゆうゆうと泳いでいた。初めて泳いでいるウミガメを見て、興奮してしまった。ポイントまで移動すると、ウミガメが岩のようにじっとしていた。その周りを20名ほどの人が取り囲んで写真を必死に撮りまくっていた。しばらく見ていると、急に動き始め、あっと言う間に海面に浮上した。人には出来ない速さである。<あまみ横>沈船“あまみ”のアンカーが流されて岩の上に出ていた。そこからは太い鎖が“あまみ”まで伸びていた。このポイントも地形が面白く、岩場や広い砂地が有り変化に富んでいた。
 <バーベキュー>翌日帰る人がいるということで、この日の夜は海岸近くの高台でバーベキューをすることになった。夕日がとてもきれいで、海に沈む太陽をみんなで最後まで眺めていた。日が沈むと焼肉の匂いがあたり一面広がってビールと一緒にガンガン食べた。北原さんご夫妻の想い出の地ということが分り、ケーキカットならぬすいかカットをお二人にやっていただいた。また、「お酒を親が次々に回し、一言ずつ話をしていく。」という与論島の伝統行事を行い、楽しい話で盛り上がった。
(4日目)
 <トモリ沖>「南側では唯一、広い砂地が広がるポイント。沖に泳ぐと、ガーデンイールがお出迎え。初心者むけに思われたが、探すとマクロも多く侮れない。」※ ここも地形が面白く、奇岩の間を通り抜けると砂の大広間がずっと続いていた。砂が白く本本当に綺麗だった。浮上する時、激しい雨が海面を叩いていた。
 <トモリパスサイド>「与論島のダイビングポイントでは、唯一テーブルサンゴを見ることが出来るポイント。かわいいハゼ類も見ることができる。」岸さん150ダイブおめでとうございます。渡辺さんの背中には、姫嶋画伯が描いたお祝いの言葉がびっしり書かれていた。そして水中では、岸さんがモデルになりカメラマン(ウーマン)たちが記念写真を撮りまくった。テーブルサンゴが一つだけどっしりと根を張っていた。その下では色んな魚達が所狭しと泳いでいた。また、生きているホラ貝を初めて見た。
 <長崎の塔>「名実供に与論を代表するポイント。人の横顔に似た奇岩、通称(人面岩)やアーチ、トンネル等があり、魚影も濃く何度潜っても飽きさせない。」※ 流れがかなりあり、3本目ということもあり、かなりきつかった。それでも窪みに入ると流れが全くなく、長崎の塔をじっくり見ることが出来た。自分の目にはインディアンにも見えたし、角度によってはゴジラにも見えた。また、与論に来て初めてミノカサゴを見ることが出来た。しかも紫色のヒレがとてもきれいだった。帰りはトンネルを通って帰った。出口から差してくる光がきれいだった。

(5日目)
 <宇勝のアーチ>「北側のポイントでは一番ダイナミックな地形をもつ。―18mより広がるL字型ホールや魚影の濃さは見もの。」※ 餌付けは座間身の奥座間味ビーチでしたことがあったが、魚の多さは座間味以上であった。ダイバーが持っているソーセージにピラニアのようにむさぼりついてきて、目の前の魚の群が全然見えなかった。グルクンの群がとてもきれいだった。
 <電報口>「人が通る事ができるクレパスやトンネルが冒険心をそそるポイント。昼間でもイセエビに出会うことも。水中ライトは欠かせません。」※ 自分にとっては最後のダイブ。いろんなポイントに潜ったが、どのポイントもそれぞれの特徴をもっていて、飽きることがなかった。たくさんの魚たちが乱舞している姿を見て、別れが近づいてきたようなそんな寂しい気持ちになってしまった。<民謡酒場かりゆし>「知るひとぞしるご当地バンド“かりゆしバンド”のライブハウス。島の唄、オリジナル曲もいっぱい。飲んで唄って子供連れもOK!三味線、太鼓、ギタードラム、キーボードの音色であなたをバンドの虜にします。」※ 与論島最後の夜をここで過ごせたことは、締めくくりとしては最高だった。こんな素晴らしいバンドが与論島にいたなんて感激。乗りに乗りまくって皆で踊りまくってしまった。
(6日目)
 飛行機の出発時刻までホテルの一室でダイブのビデオを見たり、ログつけをしたりして過ごした。竹内さんご夫妻と、一度会いたかった忠犬やまとが見送りに来てくれた。
(ダイブを終えて)
 今まで3度、慶良間諸島でそれぞれの素晴らしい思い出に残るダイブを経験してきたが、与論島ダイブは今まで以上に充実した内容のダイブであった。参加した人たちは一様に「来年も絶対与論に来ようね。」と口をそろえて話していた。自分もその1人である。与論島ダイブを計画してくださったバディロープに感謝。竹内潜水堂のスタッフに感謝。一緒に参加した皆さんに感謝。最後に一言「竹内さん。来年も行くよ〜。」


写真協力:今岡様・姫島様


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