マーシャル・マジュロ
「マーシャル楽園案内」


2002年 8月 東川 由美
 マーシャル諸島共和国、首都マジュロ。その島の小さな空港に着いたのは、もう日もとっぷりと暮れた頃だった。福岡を出発したのは、昨日の朝。遠い道のりだった。
  美しく孤を描いた細いリングのような島に道は一本きり。しかし、車は意外と多く、驚かされる。道の両側には散在する小さな民家と商店。高くそびえるヤシの木。とてものんびりしたところである。食事を注文すると、のんびりしすぎて餓死しそうになる。(今回お世話になった「Marshall Dive Adventures」の吉井さんは、最高2時間待ったと言っていた)  しかし、まだあまり観光化されてないこの島は、私たち外国人に媚びることも無く、よそ者と突っぱねることも無く、私としてはとても居心地良く感じられた。二日目にダイビングショップの船着場で出会った少女は、興味深げに黙って私たちを見ていたが、Good morning!と声をかけると、はにかんだとてもかわいい笑顔で答えてくれた。そんな島である。
 マーシャルの海の中はというと、今までに私が見たことも無い光景だった。初めに潜った日は、とても上天気とは言えない荒れ模様で、一本目は、せっかく準備したカメラも船においてのエントリーだったけれども、水に顔をつけたとたん、心が躍った。まったく陽が差してはいないのに、抜けるような透明度。多種多様の珊瑚が、どれもほとんど完全な形で、どこまでも続くかのように思われる台地を作っていた。その上をゆっくりと流されて行く私たちの周りを、ホワイトチップが行き来して、みたことの無い色、模様の魚たちが、珊瑚を取り囲んでいた。
 また、アルノまで船を出せば、さらにクリアな水と白い砂地の、本当に夢のような風景を見ることができた。 今回惜しいかな、あまり天気には恵まれず、きらきらと水中に陽が射す様子をほとんど見ることができなかったけれども、これが天気が良ければ、どんなにかすばらしいだろうかと思うと、ぜひまたこの島を、再び訪れなければと、想いを募らせている。
 島を出る日、バンガローを出てフロントのある建物への小路を歩いていると、Hey!と声をかけられた。見上げると、二階のベランダから、先日船着場で出会った少女がこちらを見ていた。Good morning!挨拶をすると、嬉しそうに笑っていた。
 マーシャルの珊瑚と島の人々が、どうかこのまま変わることのありませんように・・・

写真協力 大神 実様

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