バリ・コモド
調査ダイブ報告 No.4」


2001年 5月 今林 忠義


 ダイビングポイントに向かうボートからの眺めは昨日までと打って変わって緑のない地肌剥き出しの島ばかり。「まるでレッドシーやラパスみたい」だと誰かが言っていたが、コモド本島は木々が茂る島なのに、この差は何なのか分からない。小さな島が近距離で点在するポイントでのコモドファーストダイブは予想外の超潮流ダイブ。深度5mほどの海底にエントリー後20mまでたどり着くが何かに捕まらないと潮に持っていかれてしまう。透明度は13mほど。皆でじっと流れに耐えていると「ギンガメイジの群やカスミアジが流れに逆らい泳いでいる。浅場に目をやるとバッファローフィッシュの群が珊瑚をバリバリとかじっている。「やっぱバリである?いやコモドか?」その周りではアイゴの群、ホウセキキントキの群、ウメイロモドキの群、ヨスジフエダイの群、タカサゴ、クマザサハナムロ、ハタタテ、カスミチョウチョウウオの群、群、群で潮陰にも小魚達が舞っている。」私は2日目にメインレギュレーターの排気管をなくしてしまい、そのレギュレーターを咥えていたので潮の流れに対して直角に首を振るたび(浅場と深場に顔を向けるたび)塩水がゴポゴポ入ってくる。クリァーしながらのダイビングだったが、なかなか面白かった。「オクトパスをなぜ使わないか??」当然、そう言うご質問もおありでしょが、私はバディの緒方氏のためにコンディションの良い方のオクトパスを絶えず準備していたのです。
「残念なことに緒方氏は一度もエァー切れにならず、私の親切心は水泡となりましたが・・・・。」
2ndダイブ
 コモド島の北側のポイントは潮もなくのんびりダイブ。特に海底景観に違いはなく魚種も大差ない。2本目の前に沖にある潮かぶり(海底から岩が少し突き出していて波が砕けている)がよさそうなのを感じていたが、皆、そうだったようで、リクエストが相次いだのか潜ることになった、多分、「おもしろいぞ〜っ。」果たしてやっぱりその通りで、流れはあまりなかったが流れれば半端じゃないことは分かる。海底にある山の周りを一周する感じのダイビングです。小型のイソンボやアジ類にまじり、おなじみのクマザサ、ウメイロモドキなどが中層を舞う、水面をダツの群れが移動し、海底ではゴマモンガラがギリギリ歯を鳴らし、こちらを睨む。サンゴは特にソフトが多く、大きく色とりどりで海底がカラフル。透明度も35mはある。潮止まりを狙えば初心者の方でも充分楽しめる。
 この日はナイトを合わせその後2ダイブ。食事後、ボートは西に進路を向け次のダイブポイントへ移動する。17日(6日目)は往路で立ち寄った島の近くで3ダイブ。18日(7日目)はロンボクの北にあるファーストダイブした島の西側での午前中1ダイブ。ここは、なだらかな傾斜が続く比較的平坦なポイント、カメがあちこちに居る。ダイバーが近づくとすぐに泳ぎだして、行ってしまう。海底は残念ながらダイナマイト漁のためか、大きなサンゴがいたるところでひっくり返り、海底を被うサンゴも死滅状態。魚も小魚がいる程度で、ちょっと寂しいダイビングになりました。
午後から、みんなでロンボク上陸、空港でフライトを調べた後は島内観光とリゾートホテルの横にあるお土産屋さんでのショッピング。(私はその夜に飲むワインを買いましたが、Tシャツ、バテック等の布ものやその他の小物もバリで買うより、幾分安いのではないかと思いました。)
 打ち上げパーティー
 その夜は食事前、みんながダイニングに揃うと、お揃いのシャツに着替えたキャプテン以下ボートクルー全員がお礼のコーラスで別れを惜しんでくれました。その後、神様にお礼の意味で特別料理の中から黄色に色づけされたサフランライス(ウエディングケーキの一番上が尖った形)の上を切り取り食事が始まりました。食事後、場所をアッパーデッキに移し、歌あり、ダンスあり、もちろんお酒もビンタンビールにウイスキーで飲めや唄えの大宴会。夜空にはミルキーウェイに南十字星、ミラーボール(昔、昔、ダンスホールやキャバレーには必ずあったクルクルまわりいろんな色で光るヤツ)を星の瞬きにかえてロンボクでの船上お別れパーティーの夜は更けていったのでありました。
 今回の調査ダイブを終えての感想は、
●ポイント
 海図では周辺海域はかなりの深さがあるが島の周りはドンブカは少ないようで傾斜角度は緩やかな所が多い。水面近くの海底から20m程までに珊瑚や腔腸類がビッシリ生息していてそれより深い深度ではあまり見ることは出来なかった。潮と海水温、太陽光の届く深度を決定する透明度、また海水の栄養分などの関係と考えられるが、それにしても線を引いたような感じでした。30mのところに珊瑚がビッシリなどは考えられないがカイメンやウチワ類などが深い所見れるところも多い。透明度は平均するにはあまりにバラツキがあり、10mから最高は35mほど。潮流も小潮時といえども島と島の間はかなりのスピードになる。時には8ノット以上になり、馬力のないボートは上れず押し戻されるところもあるようで、すべてはガイドダイバーに任せるのが良いと思われる。ダイブ数からしても初心者からベテランまでを楽しませてくれるポイントがいっぱいあり、本船アンカリング後、2ハイに分かれてのダイブだと両者満足できるでしょう。現地ガイドの話ではドッグトゥース(イソマグロ)やその他の大物ガンンガンのポイントもあるらしい。特筆すべきは、前にもふれたようにウミウシの多さである。異種ごとに一回のシャッターを切ったとしても、1ダイブ毎にフィルムの入れ替えが必要かもしれません。今後、新種もいくつか発見されるかも。また、意外とハゼの類も多くいました。私はあまり詳しくはないが、ハゼ好きな方も行ってみてはと思います。もう少し調査を重ねれば、より素晴らしいポイントがイッパイ見つかるでしょう。
● ボート
 クルーズは時間がゆったりと流れ、のんびり気分を満喫するにはピッタリ。今回のシーサファリクルーズXは豪華な木製の帆船。クルーの教育も行き届いており、各室エァコン、シャワー、トイレ完備。キャビン19室、各キャビンは船倉からアッパーまでの3フロアーにわかれツゥインルームが主体、広いダブルベットの部屋も6室あり何れもキャビン内は広く綺麗。毎日のベットメーキングは勿論、細々気を使ってくれる。また、ダイビング用のデッキも広く、毎ダイブ後スーツをハンガーアップして、シャワーをかかり、各自キャビンで着替えジュースやコーヒーを飲みながらサンデッキでゆったりとくつろぐ事ができる。
● 食事
 食事は日本人にも全く問題ないと思われる。朝食はアメリカンブレックファースト。(朝から米をリクエストしてた人もいました)ハム、ベーコン、目玉焼きパン(クロワッサン、デニッシュ、ブレッドなどがある)お昼と夜はスープ、魚、鶏肉、牛肉、ライスの4品は必ずあり、生野菜、焼きそば、野菜料理、などが日替わりで追加される。また、毎食フルーツが用意されていて、時にはフルーツポンチなども出てくる。午後からの1ダイブ後はアッパーデッキに春巻きやケーキ、お好み焼き?ワッフル、紅茶、コーヒーなどが置かれていて空腹を覚えることはない。快適なクルージングライフが約束される。
● アクセス
 クルーズ6日間だと日本からの空路も入れて、最低7日掛かってしまう。今回は日本人の短いお休みパターンも考慮しようとの考えから、帰路ロンボクに上陸し空港まで足をのばし、バリ、ロンボク間および、ロンボク、ビマ間のフライトスケジュールを確認した。正式なクルーズスケジュールに採用されれば、より行きやすくなるでしょう。



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